トークショー

押井:今日は風邪気味で声があまり出ないんで。今日こそ川井くんにたくさん喋らせる予定。
(ちなみに川井さんは2時間しか寝ていない)

――出会ったきっかけなどは?

押井:「紅い眼鏡」のときに斯波さんの紹介で。

――初めて会った印象は?

押井:くわえ煙草でエレキじゃかじゃか弾いてて。「大丈夫かな、コイツ」みたいな。自分が持つ「作曲家」のイメージと全然違っていた。でも予告用に作ってきた曲が凄く良くて。

川井:映画の仕事をあまりやったことがなかったので、「監督」ってこんな感じかー、と。とにかくボキャブラリーが豊富で。本人を前にして言うのもなんですが、物凄く頭のいい方だなと思いました。

――「紅い眼鏡」から20年ご一緒にやってこられたわけですが。

押井:昔、監督は音楽には口出ししないものだった。出来上がってきた曲を聴いて「今回は当たりだった」とか「ハズレだな」とかそんな感じ。でも僕は音楽も映画の一部でかなりのウェイトを占めると思っている。だから監督として音楽制作にも関わっていきたかった。僕は音楽の知識がないんだけど、「ここはこんな感じ」「ここはもっと下げて」とか、そんな風でもちゃんと意思が通じて、明確にくみとって曲にしてくれる。あと、冗談が通じるってのは大きいね。

川井:(ときどきマイクをスッとあげて喋ろうとするものの、押井さんの勢いに押されてタイミングを逸する)

――いちばん印象に残った場面などは?

川井:迷宮物件の空の色が印象的でした。

押井:うーん……(かなり長考)「攻殻機動隊」かな。個人的によく聴き直すのは「ケルベロス」。ギター1本で川井くんが弾いてる感じが好き。

――「立喰師列伝」の曲でお気に入りなのは?

川井:尺が長くなければオルゴールですね。ディズニーランドの。あれは尺が長くて大変だった。もっと短ければ……凄く浸れますよね。

押井:吉野家のテーマですね。

――よ、予知野屋ですよね?

押井:あ。予知野屋、予知野屋。あのドンガラガッタは脳から離れなくなるよね。

――どんな風に作ってくれと指示があったんですか?

川井:そのままですよ、「ドンガラガッタ」って。それだけ具体的に言われちゃうともう、そう作るしかない(笑)ドラムとホルンだけで簡単だったし。

――川井さんは今回出演もされたわけですが。ご自身の出演シーンに音楽を付けるのはどんなお気持ちでしたか?

川井:全然演技した感じじゃなかったので、他の場面と一緒で冷静に作ることができました。へー、ふーん、みたいな。

――今後の予定などお聞かせください。

川井:「デスノート」がダビング中だそうです。明日、CD用のトラックダウンをします。あとは香港映画の「ドラゴン・タイガーゲート」を作曲中です。

押井:劇場アニメの脚本がもうすぐアップする。今回は女の子に書いてもらってるんだけど、かなりいい手応え。あとは大配給会社にOKもらうだけなんだけど。これでOKもらえなければ路頭に迷うことになるんですが(笑)