「深き淵より」

〜「仄暗い水の底から オリジナル・サウンドトラック」tr.1〜
まだ「MAKOTO」を観られないので、替わりに今回は「仄暗い」をば。<同じホラーでも音楽の系統、違うけど
今やJホラーサウンドの第一人者となってしまった川井憲次「リング」リング2」「カオス※」(※これは正確にはサスペンスだが、「リング」と同じ中田秀夫監督ということで音の使い方は同じ)そしてこの「仄暗い水の底から」。これらのサウンドをひとことで表すと“空気感”。空をつんざく不快な錆び付いたストリングス、エコーバリバリの不気味なヴォーカリーズ。何でもないシーンでも、こんな曲がかかれば“何かが起こるかもしれない”と身構えしてしまうほど空気が変わる。そうやって画面に引きつけられたところ、そことは予想外のところからドバーッと現れる“ソレ”……。
こうやって画面と一体となったサウンドデザインになっているため、これをサウンドだけ切り離して聴くのは難しい。そもそもこんなん好き好んでバンバン聴いてたらご近所さんから怪しい目で見られそうだ。
ところがある日、偶然これらの曲の有効利用法を見出した。仕事で終電になり、駅から家までの自転車用BGMを選ぶ際、何を思ったか「仄暗い」を選んだ。1曲目、「深き淵より」が耳元で流れ始める。国道を外れた裏道を通るため、辺りは真っ暗だ。いや、なにかいつもより遠くまで見通せるような澄んだ視界が広がっている気がする。そして耳元では“何か出そう”な音楽が流れている……。
“そうか、コレか!”
この“何か出そう”な雰囲気が脳に伝わり、注意力が高まったのだ。そう、
“川井ホラーサウンドを聴くと視力が上がる”
嘘かMAKOTOか、それは本人のみぞ知るところ。もしかしたら個人差があるかもしれない。みなさん、ぜひ一度お試しあれ。